パートタイム・ナニー / 嬉野君

本の感想, 作者名 あ行嬉野君

時給5千円に釣られ、乳母バイトに応募した高校生の剛。採用試験に受かったのはいいものの、当のお坊ちゃんはバーソロミュー・ウェリントン、通称バブーという剛より年上の青年だった。ウェリントン家の当主とその跡継ぎは、その破天荒な行いを実力行使で阻止するために代々”乳母”が選ばれることになっているらしいのだ。バブーの乳母になることにより、剛の平凡な高校生活は一瞬にして去っていった。


ウィングス文庫の新人さん。乳母の男子校生徒とそのおぼっちゃまの笑いと涙の攻防を描いたコメディ作品でした。
超大金持ちのトラブルメーカーで天才肌、日本語も数時間で完璧マスターという、一言で言うと「わけのわからん超人」のバブーとそれをしつける(?)剛の緊迫した(?)やりとりが面白いです。バブーの引き起こす予想もつかないトラブルの数々が手を変え品を変えで読む手を止めさせません。
ここまで破天荒でやりたい放題のお坊ちゃまだと読んでいてイライラするのではないか?と最初の方は若干の危惧もありましたが杞憂でした。バブーが本当にいい子で。たしかに、この性格の当主様だといくらむちゃくちゃやられて振り回されてもついていきますという気持ちになりますね。
バブーvs剛の飴と鞭攻防ももちろん面白かったのですが、それ以外の主要キャラもとてもいい味を出していました。バブーの執事ーず二人組や、剛のじいちゃんと弟、そしてレスリングのおばちゃんと揃いも揃って面白い人ばかり。弟だけは唯一かわいかったのですが、しかし今後バブーと絡むことによりどう転ぶかわかりません。

どうやら秋から連載確定のようなので、続きが楽しみです。
バブー父とそのインド人乳母の攻防も見てみたいなぁという気がするのですが……。

imgパートタイム・ナニー
嬉野君/天河藍(イラスト)
ISBN : 9784403541193
新書館ウィングス文庫(2007.07)
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