花咲く丘の小さな貴婦人 林檎と花火とカエルの紳士 / 谷瑞恵

本の感想, 作者名 た行谷瑞恵

イギリスに来て初めてのガイ・フォークス・デイを迎えることになったエリカ。祭に参加するために女子寮の監督生となり、万聖節のバザーを成功させようと奮闘するが、新入生の男嫌いの少女キャロルや、不本意ながら学園にやってきたその姉ビヴァリーなどエリカの頭を悩ます事態が続発して……。


男子校に併設された女子寄宿学校で日本人とイギリス人のハーフの少女が健闘するシリーズ2作目。
今作では3人だった女子生徒に新入生が加わり、全6人となりましたがなかなかうまくはいきません。ドロシーやイザベラが天使に見えました。エリカとイザベラ、ドロシーのやり取りはいいなぁ寄宿舎、と思えるのですが、新入生のお陰でうきうき寄宿学校ライフにはほど遠く。今作では前作にてイマヒトツ物足りなかった女の子同士の友情がわりと描かれていて満足です。

そしてそれ以上によかったのが、ジャイアン横暴監督生のジェラルド。「好きな子に程きつく当たってしまう」というガキ大将心理が良かったです。地味に赤毛さんを応援している人間にとってはなかなかにおいしい展開でした。がんばれ、赤毛さん。たとえエリカの前で素直になれなくても、エリカと絡んでいる様子を見るだけで楽しいので期待しています。

img花咲く丘の小さな貴婦人 林檎と花火とカエルの紳士
谷瑞恵/桃川春日子(イラスト)
集英社コバルト文庫(2007.09)
ISBN:978-4-08-601066-5
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