レインツリーの国 / 有川浩

本の感想, 作者名 あ行有川浩

向坂伸行は中学生時代に読んだ本のラストについての感想が気になり、ふとネットで検索をかけてみた。そして見つけたサイト、レインツリーの国。当時その結末について語る相手のいなかった伸行は思い立ってそのサイトの管理人・ひとみにメールを出してみる。
こうしてはじまったメールのやり取りが続くうちに、伸行は直にひとみと会いたいと提案するが、メールの時とは一転ひとみは乗り気でないようで……


図書館内乱のコラボレーション作品、レインツリーの国。図書館内乱でのある事件の発端となった物語で、直球どストレートの恋愛ものでした。ここまで余計な装飾なしの直球のお話を読んだのが久しぶりで、無駄に心拍数が上がって読むのに疲れましたが、良かったです。

伸行のオトコマエさとひとみの葛藤に身悶えすること必死。主にメールでのやり取りで進んでいく非常にシンプルな作りなだけに、ぐっとくるものがありました。細部まで非常に丁寧に描写されていて、派手さはないものの、それだけにずっしりと残ります。

そして、伸行の直球さには思わずドキッとしてしまいますね。あそこまでとことんぶつかっていけるのは真のオトコマエだなぁ、と。ついでに、関西弁丸出しでのメールというので非常に身近に感じたのもあるでしょうが(笑)。地上最強の言語河内弁には思わず笑ってしまいました(作中の伸行の言葉はずいぶんソフトな関西弁ですよね……、河内弁ではない私のほうがきつい関西弁だ……)。

imgレインツリーの国
有川浩
新潮社(2006.09)
ISBN:4-10-301871-2
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