死神姫の再婚 / 小野上明夜

本の感想, 作者名 あ行小野上明夜

家柄だけは立派な没落貴族令嬢・アリシアは結婚式の途中で新郎が急死してしまったため、「死神姫」と恐れられ、次の嫁ぎ先も決まらないまま気楽に生活していた。そんなある日、アリシアの後見人が見繕ってきたアリシアの再婚相手は、名家の格がほしい成り上がりの”強公爵”ライセン。アリシアはライセンの屋敷に到着早々ライセンの愛人だと名乗るメイドに出くわす。


第9回エンタメ大賞ガールズ部門奨励賞受賞のB’s LOG文庫の新人さん。タイトルだけ見たときはバリバリのシリアスものかと思いこんでいたのですが、どちらかといわなくても正反対の方向に突っ走る(主にヒロインと勘違いお坊ちゃんのおかげ)ややコメディよりの作品でした。

ヒロインその他の癖のある登場人物のお陰で妙に味のある、思わずくすっと笑ってしまうようなやり取りが面白かったです。物語が思わぬところで二転三転するところも素直にほほーと思いましたが、その問題の出現も解決法もちょっと唐突過ぎて着いていけないなぁと感じてしまう面があったのも事実。
しかし、全体的に見ると面白かった、と思えるお話でした。

ただ、極々個人的にこのヒロインの緩み具合が許容範囲ギリギリセーフだったので(もしかしたら多少アウトだったかも……)ちょっときつかったです。シリアスモードでの彼女とダンナのやり取りとかは良かったのですけどね。この物語を楽しめるかどうかはヒロインの緩み具合と坊ちゃんの暴走具合を楽しめるか否かにかかっているかと思われます。

img死神姫の再婚
小野上明夜/岸田メル(イラスト)
B’s-LOG文庫(2007.09)
ISBN:978-4-7577-3744-0
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