空の中 / 有川浩

本の感想, 作者名 あ行有川浩

四国沖での謎の飛行機事故が続き、その調査を命じられた春名高巳。事故を目撃した空自の戦闘機乗・武田光稀に当時の状況を聞くために高巳は基地通いを始める。
一方、件の飛行機事故でただ一人の家族であった父親を失った斉藤瞬は、ある日奇妙な生き物を拾う。瞬はその生き物に名前を付け、心の隙間を埋めるようにかわいがるのだが……。


「図書館」シリーズがツボに入ったので、他の作品にもチャレンジしてみることに。「有川さんといえば自衛隊で恋愛モノ」という非常に間違った認識を持っていたのですが、これはそんなに自衛隊が前面に押し出された作品ではなかったですね。いや、でもオトコマエなパイロット光稀はかわいくかっこよかったです。

謎の知的生命体と遭遇してしまった日本。【白鯨】(もしくはディック)と名付けられたその生命体とコンタクトをとり、平和的に共存しようとする大人達。そしてそのディックのかけらを拾い、育てる子どもたち。ディックとの不幸な事故により肉親を失い、復讐を誓う少女。いろんな思惑が交差し、最後にはすかっと気持ちのよいかつ感動的なラストでなんとなく幸せ気分。
ディックと高巳のやり取りは非常に興味深かったのですが、同時に私の苦手とする分野なので高巳すごいよ……、とアホの子の気分で見守っていました。なんでか途中からタチコマちゃんたちが頭の中を駆けめぐってなかなか出て行ってくれなかった……。

高巳と光稀、瞬と佳江、というそれぞれのコンビも最後はお幸せに、というこちらも幸せ気分になれるエンディング。高巳と光稀はそのあとどうなったか気になるなぁと思っていたら、この二人の短編が収録されている短編集がある、と。まだまだ楽しみが続きます。

img空の中
有川浩
メディアワークス(2007.03)
ISBN:4-8402-2824-8
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