流血女神伝 喪の女王8 / 須賀しのぶ

本の感想, 作者名 さ行須賀しのぶ

王宮からの脱出を果たしたカリエは怪我を癒す間もなく、エド達と合流するために旅を続ける。一方、ルトヴィアに本格的に侵攻することを決意したバルアンはザカールの兵を率い、軍を進める。そして、国を守るために奮闘するドーンとグラーシカの最後の決断は……


流血女神伝最終巻をようやく読み終わりました。圧巻という言葉がふさわしいラストでとにかくただただ物語に圧倒されながらの読み進めていました。

何を書いてもとりあえずネタバレなので内容に触れないようにするとして、とにかく皆さんかっこよくて。ルトヴィアのドーン、グラーシカ、そしてミュカはいうに及ばず、ユリ・スカナのネフィシカの女王然とした姿にもしびれましたし、立ち直った(?)イーダルの有能さにも思わず嬉しくなりました。そしてギアスもトルハーンもオレンディアも。他にもいろいろ名をあげればきりがないのですが自分の信念を曲げず真っ直ぐにその道を進んでいく登場人物一人一人が素晴らしかったです。
神様サイドの方ではザカリア女神が意外といえば意外な方で、これほどまでにカリエ達が過酷な運命に巻き込まれていってるのだからもう少しおどろおどろしいものかと思っていたのですが、カリエああだし、まあこんなものなのかもしれないと(意味不明な納得の仕方)。

最終章に入ってもこの物語が終わりそうな感じがしなく、実はまだこれ終わってなくて8-2とかがあとに控えてるというどっきりがあるんじゃないかと一瞬本気で考えてしまいました。エピローグまで読むと、本当に良かったねぇと少し幸せになれるラスト。落ち着くところに落ち着いたというか、私が待ち望んでいたラストというか。直前まで超シリアスだったのに、さすがカリエ。

とにかく全27冊に渡ってのジェットコースター大河、非常に楽しむことができました。一番のお気に入りは天気晴朗~だったりしますが(笑)。とにかく、オススメのシリーズ。帝国の娘時代にはこんな超巨編になるとは思いもよらなかったです。発売直後に読んで次をまだかまだかとドキドキしながら待つのもそれはそれで楽しいのですが、ラスト8冊を短期間でどばっと読めたのも幸せだったかも。
神と人との物語から人と人への物語へ。子ども時代のお話の構想もあるらしく、そちらもいつか読んでみたいなぁ。

img流血女神伝 喪の女王8
須賀しのぶ/船戸明里
集英社コバルト文庫(2007.11)
ISBN:978-4-08-601090-0
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