走れ、真実への細き途 幻獣降臨譚 / 本宮ことは

本の感想, 作者名 ま行本宮ことは

シエネスティーダ姫に会うために王宮に潜り込んだアリアであったが、結局姫には会わず隠れ家に戻る。姫と話をするために、王家が管理している「契約の門」に入ることを決意したアリアだが、王宮からのアリア探索の手がついに隠れ家にも伸びる。


だめだ、不覚にも王子を非常にかわいいと思ってしまいました。オレ様王子様なのにかわいいなんて……(笑)。王子・その恋を自覚するのらぶ編とライル・王宮で立ち回るの陰謀編の2編収録でしたね(←いや、それ違うし……)。

王子のその苦悩と光焔の明らかに遊んでいるそのツッコミとかそこら辺が非常に楽しく、もうこのままラブコメでもいいかもしれない……と思った矢先にあれやこれやと横槍が入りつつ、なんとか当初の目的を達したアリア。物語のはじまった頃のアリアだったら確実にあの決断を下すのにもっと時間がかかっていたでしょうが、潔くその方向に進む彼女に思わずほれぼれ。大きくなったなぁとまるで見守る心境になってしまいます。
一方陰謀編のライルについては、まさに首の皮一枚で命がつながったという国王とのやり取りだっただけに、読んでいるこちらもとてもハラハラ。権力者って嫌だなぁと思わずにはいれれない展開です。ああ怖い。

この巻のラストはいつも通り先が気になる~とぺしぺし膝をたたきたいような幕引きだったので続きがまたしても楽しみ。次以降はよその国もいろいろと絡んで来そうな感じですね。そして長らくご無沙汰だった鍛冶屋の正体に迫る!という予感。あの国名がどうしても笑えてしまいますが(ミルク王国……)、何はともあれ次も楽しみ。

img走れ、真実への細き途 幻獣降臨譚
本宮ことは/池上紗京(イラスト)
ISBN:978-4-06-286500-5
講談社X文庫WH(2007.11)
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