<本の姫>は謳う1 / 多崎礼

本の感想, 作者名 た行多崎礼

文明が滅びたことにより世界各地に散り、人に悪影響を与える文字(スペル)を集めるために、意志を持つ本の<姫>と共にアンガスは世界各地を旅をしていた。ある日、文字を求めてある遺跡に入ったアンガスは、盗掘をするゴロツキに絡まれて……


「煌夜祭」の作者さんの新シリーズ。文字ではなくスタンプと呼ばれる模様で情報を伝達する、なんとなく西部劇の舞台のようなかおりのする文明の一度滅びた世界で真面目少年アンガスと強気な謎の本・姫が織りなす冒険(?)、そして滅びた世界の顛末を描いた(ものであろう)「俺」の物語と二本の軸で描かれたファンタジーの第一作。

いきなりアンガスとはなんの関係もない(ように思える)「俺」の物語がはじまったり、姫とアンガスの馴れ初め(というと語弊があるけど。あとで徐々に明かされていってるし)あたりをすっ飛ばしての出だしだったりで最初の内は乗り切れなかったのだけど、少し経つと最初の戸惑いが嘘のように物語にのめりこむことができました。
アンガス陣営の布陣の厚さがいいですね。強くてかっこいい女性は大好きだ。姫はもちろんのこと、エディさんやローンテイルさんとかみなさん思わずほれぼれするような気っぷの良さが素敵です。途中合流のヘタレなのかかっこいいのか判断に迷うジョニーなどもなかなか。そして「俺」関係については、こちらもどうなるんだろうとハラハラしながら読めること請け合い。

アンガスの旅もまだまだ波乱ずくめな事は確定ですし、「俺」もこの先どうなるんだろうかと続きが楽しみな物語です。

img<本の姫>は謳う1
多崎礼/山本ヤマト(イラスト)
ISBN:978-4-12-501006-9
中央公論新社 C-Novels Fantasia(2007.10)
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