嘘つきは姫君のはじまり ひみつの乳姉妹 / 松田志乃ぶ

本の感想, 作者名 ま行松田志乃ぶ

血筋だけは一級品の没落貴族の姫君・馨子とその乳姉妹・宮子は貧乏にも負けず慎ましくたくましく幸せに生活していた。しかしある日、馨子が今をときめく超名門大貴族・九条家の隠し事であることが発覚する。馨子が身重であること、そしていくつかのトラブルが重なり宮子が馨子の身代わりを務めることになる。宮子と馨子は生活費をがっぽり稼ぐために神隠しにあった姫君の謎を追うことになるのだが……


5月のコバルトは買いません~とかいいながら買ってしまった平安お姫様モノ。ジャパネスクとかすごく好きなのでちょっと気になっておりました。平安ロマンティック・ミステリーと銘を打っているだけあって、ロマンティックなミステリー具合がなかなかに素敵でした。正直なところミステリー分は割とどうでもよかったんで(普段からミステリーはスルーだし謎解きされてもはっきり言って一度読んだだけではぴんとこなかったので数度読んだ)ロマンティック分に期待していましたが、期待通りの胸キュンストーリーがよかったです。物語のヒロイン・宮子には最初から真幸という恋人がいるのですが、九条家で出会った次郎君にも少しくらくらときて……と二人の間で揺れ動くかにみえる宮子の恋心がよかったです。このあたりは是非とも続きを読んでみたいです。
そして、宮子の仕える姫君・馨子のパワフルなところもすごく好印象。型破り過ぎる姫君なんですが読んでいて非常に爽快でした。

ジャパネスク好きならたぶん楽しめるのではなかろうかという作品。瑠璃姫をさらにパワーアップさせたような馨子の破天荒ぶりと宮子のかわいさがとてもよかったです。

img嘘つきは姫君のはじまり 秘密の乳姉妹
松田志乃ぶ/四位広猫
集英社コバルト文庫(2008.05)
ISBN:978-4-08-601166-2
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