翡翠の封印 / 夏目翠

本の感想, 作者名 な行夏目翠

レガータ王国の第五王女セシアラは同盟のため、ヴェルマの少年王テオドリアスに嫁いできた。神殿育ちと風習の違いからうヴェルマでの生活にとまどうセシアラであったが、ヴェルマの人々の心の触れ次第に生活になれていく。しかし、平穏に見えたかの生活の中、同盟を揺るがす事件が勃発する。


C★NOVELS大賞受賞作品。少女小説だ、これはそんじょそこらの少女小説より少女小説してる……となんか違う意味で感心してしまった作品でした。大賞受賞作と聞いていたのでもうちょっと重厚というかこねくり回した陰謀というかずどんとしたモノがあるのかなぁと思っていたのですが、そこらへんはあんまり感じなかったです。いわゆる少女小説レーベル作品よりも若干「ああ、新書だなぁ」と感じる面はありましたが。

嫁いだ先でその国の人々に触れていき、徐々にうち解けていくという政略結婚モノに外せない所はもちろん完備しています。相手役の少年王テオとのすれ違いも「どうせうまくいくでしょう」とある意味での安心感を持って楽しめるのでよいです。脇を固める元気侍女のミリィやその兄でテオの頭が上がらない側近のシグ、元気なじいさんなどその他の登場人物も割合と魅力的でした。ミリィ兄妹がいいね!
ただ、終盤の不思議パワーが働きまくる陰謀のくだりはそこまでがかなり好みだっただけにちょっと肩すかしかなぁ。悪役喋りすぎ!とか、クライマックスシーンを読むのがちょっと乗りにくかったりとかいろいろありました……、がそれ以外は総じて私好みの政略結婚的王道ストーリーが繰り広げられていたので結構楽しめました。

キーワードに政略結婚とか巫女とかそこら辺がふんだんに含まれるので、そういうのに反応する人は手に取られるといいかもしれません。少女小説的ノリを期待される方にはわりにオススメ。

img翡翠の封印
夏目翠/萩谷馨
C★NOVELS Fantasia
ISBN:978-4-12-501040-3
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