アンゼルゼ ひびわれた世界と少年の恋 / 須賀しのぶ

本の感想, 作者名 さ行須賀しのぶ

陽菜を実戦に投入する機会をうかがっていた敷島だが、本土からの圧力で想定よりも早い実戦投入を決断する。そんな陽菜は、対アンゲルゼ戦のために訓練に励む一方で体の変調を感じ、とまどいを覚えていた。
一方、陽菜が次第に自分の知らぬところでアンゲルゼの問題に巻き込まれていると感じた覚野は、有志とアンゲルゼについて調べ、文化祭で発表するという計画を立ち上げる。


アンゲルゼの3巻目、別名「もーちゃんがんばれ」編(後書き参照)。いや全くその通りで、もーちゃんがとてもがんばってしました。前から覚野の後ろ姿の男前っぷりにええわーとのんきにエールを送っていましたがやっぱりかっこよかったです。青春の青臭さというか、敷島の前で無力感を感じつつも……となんというかあれです、青春あっぱれな展開がすばらしい。青春大好きの敷島じゃないけど本当に応援したくなりますねぇ。そして、もーちゃんは予科とか士官学校の制服とか軍服とか似合うんだろうなぁと違う意味でにやにやしてしまいました。すいません。
一方の陽菜の方の吹っ切れ具合は読んでいて痛々しいものがあります。彼女の置かれた状況からして仕方がないかなぁとはおもうのですが……青春パワーでもどうしようもできないやるせなさといいますか。彼女に今後降りかかりそうな不幸の数々がこれからとても心配。
そしていろんな人から変人認定を受けている敷島。いやあいろいろあるとは思ってたけど、そうくるか、みたいな驚き。今までの伏線(?)らしいものとか今回の各種伏線(?)から最後の一行の爆弾発言はなんとなくそーかなーと思ってたりしたんですがまじっすか!みたいな驚き。覆ることはたぶんないと思うんだけど、純粋に驚いてます。そして自分の予想が当たっていたことに驚いてます(普通当たらない)。それ以外はおちゃらけモードの敷島の青春大好き発言が和みを与えているような気がするんですが、彼の背景がアレなだけにいつまで和めるかが心配ですねぇ。

なんやかんやといろいろ驚きの展開で続きの予想がつきませんので続きも楽しみです。しかし、いっそいきなり5年後とかでもいい(もーちゃんの制服姿を妄想)。

imgアンゼルゼ ひびわれた世界と少年の恋
須賀しのぶ/駒田絹
集英社コバルト文庫(2008.09)
ISBN:978-4-08-601207-2
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