悪魔のソネット 美形悪魔は契約しない!? / 栗原ちひろ

本の感想, 作者名 か行栗原ちひろ

父親と世界中を旅していたジャスティンは、病気の祖母を見舞うため7年振りに単身で自宅である城に戻る。全寮制の女子校になっていたはずの城はなぜか財産管理人に乗っ取られて全寮制の男子校となっており、ジャスティンは身を守るためメイドとして男子校に潜入することにする。そんな彼女の元に旅先の父から謎の魔導書が届けられる。そこから出てきたのは、ジャスティンの大嫌いな「美形」のやる気のない悪魔だった。


オペラシリーズの栗原さんの新作は、180度くらい方向転換したように見えたノリが軽めのお嬢様と悪魔モノ。どれくらい方向転換したかというと、始終前作の薬師のツッコミが繰り広げられていっているようなノリのように思いました。お嬢様が冒険好きでかなり行動力と生活力がある方なので、一筋縄ではいきません。そして、悪魔の方も悪魔の世界での破壊と殺戮に飽きたという理由で封印されている悪魔なので、基本とてもやる気がないです。しかし、そのやる気のなさの中にもジャスティンをあれこれかまったりするのが面白かったです。
正直なところ、中盤くらいまでのあまりにもジャスティンの前向きっぷりに若干ついて行けない節もあったんですが、少しシリアスモードが垣間見られるようになったくらいからとても面白く感じました。コメディ調で進んでいくとはいっても、やはり栗原節といいますか、ああ栗原さんだなぁと思う点があって少し安心です。せっかくの寄宿舎モノなのにあんまり寄宿舎モノしてなかったので、続きが楽しみです。

でもって、噂のイラストに関しても、新條さんの描かれるマンガをネタとしては知っているけど実際は読んだことのない人間なので特に思うところもなく、物語によくあっていると思いましたですよ。

悪魔のソネット 美形悪魔は契約しない!?
栗原ちひろ/新條まゆ
角川ビーンズ文庫(2008.10)
ISBN:978-4-451409-9
bk1/amazon