そして花嫁は恋を知る 黄金の都の癒し姫 / 小田菜摘

本の感想, 作者名 あ行小田菜摘

ブラーナ帝国の第二皇女エイレーネは母親の出自の低さから皇后に酷い扱いを受ける日々を送っていた。ある日、エイレーネは隣国ファスティマ王国の国王アルファディルの元へ嫁ぐことを命じられる。ルシアン教徒のエイレーネがシャリフ教徒の国に嫁ぐことはエイレーネにとって受け入れがたいものであったが、腹をくくったエイレーネは婚礼の前にファスティマになれるため、ブラーナにやってきた使者と共に一足先にファスティマに向かうことにする。


少し前に出ていたコバルトの新人さんの文庫デビュー作。「キーワード:政略結婚」というとても私が飛びつきそうなネタであるにもかかわらず何のかんのと手に取るタイミングを逸していたのですが……今更ながら読めて良かったです。サブタイトルがなんかわかったようなわからんような話ですが。

いろいろあってご実家でいじめられて、次は嫁ぎ先の結婚相手との最悪の初対面からだんだんお互いを理解していって惹かれ合う、とまあ政略結婚ものに必須の展開が常備されているところはすばらしいです。いいですね、政略結婚もの。
しかし、この物語でそれ以上に大きな部分を占めていたのがエイレーネのご実家のごたごたというか皇位継承関係。エイレーネの姉でもあり皇太子であるかっこいい第一皇女の……怖いこと!まさかこんな展開になるとは思ってもみませんでした。しかし、エイレーネとお姉様が最後に落ち着いた関係は何だか好きだな。エイレーネとアルファディルの渾身のらぶらぶシーンより、エイレーネv.s.お姉様のシーンの方が印象に残っているというのは少女小説的にどうかと思いますが!(注:ただし、なんのかんのいってもアルファディルは結構かっこいいです)

政略結婚もの!と意気込んで読むとちょっと肩すかしかもしれませんが「政略結婚もあるよ」な読み方をすると結構楽しめるのではないかと思われます。
同じモチーフでもう一冊出ているようなので、脳内読みたいリストに追加しておきたいと思います。

imgそして花嫁は恋を知る 黄金の都の癒し姫
小田菜摘/椎名咲月
集英社コバルト文庫(2008.06)
ISBN:978-4-08-601177-8
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