レッド・プリンセス とらわれの王子様と秘密の恋を / 斎王ことり

本の感想, 作者名 さ行斎王ことり

田舎生活を満喫していた名門貴族の令嬢ルージュは、国王からの召喚により王族のご学友になるために首都に向かうことに。実家の危機的状況を乗り切るための絶好の好機と意気揚々と弟と護衛役の青年貴族とともに首都に向かうルージュだが、道中山賊に襲撃される。彼女たちを救ったのは、「ガーゴイル」と名乗る謎の青年で……


限りなくフランスっぽい国のレアベルサイユを舞台に繰り広げられる宮廷活劇物第一巻。お家の一大事と宮廷に乗り込んだ元気なお嬢様ルージュ、ルージュを陰から日向から見守るしっかり者の弟と護衛役、謎の王子様とそのお付きの人に意地悪な兄王子、そしていつもいいところで出てくる怪盗と華やかな宮廷物を彩る様々な登場人物が面白かったです。

すっごいキラキラした宮廷を舞台にちっともじっとしていないお嬢様が縦横無尽に駆け回り、ピンチになったら謎の怪盗が助けにくる(もちろんこの怪盗の正体がとても重要なわけで、なるほどーと思ったりするわけですが)と胸躍る展開で面白かったとは思うんですが、全体的な雰囲気というか何かが私の感覚とことごとく合わず、読むのが結構しんどかったです。わりに好きなタイプのヒロインのわりにはなぜかあんまり好きになれなかったというのもありますが、一番の問題は名前の付け方だと思うんだ……。「ロンドンっぽい」ところを舞台にロンドン関係のお名前をそっくり拝借、というやつはわりとなんの違和感もなく受け入れてたりするんですが、今回のはなぁ……。やはりベルサイユと聞くとあのきらんきらんの漫画を思い出してしまう。その他の名前もわりとそのままでひねりがないというかなんというか……。
同じような感じでフランス宮廷っぽいところを舞台にしている物語、結構好きなのもあったりするので、フランス宮廷っぽいものが受け入れられないという訳でもないからなぁ……やっぱり敗因はレアベルサイユ……。

imgレッド・プリンセス とらわれの王子様と秘密の恋を
斉王ことり/山岡鰆
B’s-LOG文庫(2009.01)
ISBN:978-4-7577-4653-4
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