コブの怪しい魔法使い (株)魔法製作所 / シャンナ・スウェンドソン

本の感想, 作者名 さ行シャンナ・スウェンドソン

オーウェンの弱点にならないようにとニューヨークから田舎のテキサス州コブにひっこんだケイティは、しばらくの間実家の家業を手伝いながら魔法と何の関係のないごくごく普通の日々を送っていた。しかし、ある日魔法とは縁遠い世界と思われたコブの街で魔法絡みと思われる事件が発生する。すぐさまMSIに調査を依頼したケイティの元にやってきたのは、MSIの警備担当責任者と、そしてあのオーウェンだった。


魔法製作所第4巻はテキサスの片田舎コブで巻き起こる魔法騒動。

オーウェンがっ!というのもあるんですが、ケイティのご実家であるチャンドラー一家のインパクトが強すぎました。どうやら普通の人はいないようです(父・長男・長男嫁・三男嫁は普通かも……)。すごく賑やかで個性が強くてオーウェンと一緒にただただ圧倒されること請け合いです。ケイティがどのようにケイティになったのか垣間見ることができました。そして、おばあちゃん最強伝説。

コブの魔法騒動は予想通りオーウェンの永遠のライバル(ときっと本人は思いこんでる)イドリスが絡んでましたが、イドリスは卑怯でやなやつとは思うのですがここまでくると逆に愛着を感じてしまいます。おかしい。明らかに小悪党なのに……。オーウェンとイドリスの対決のゆくえは読んでお楽しみ、ですが、イドリスらしい落ちの付け方でさらに愛着を感じてしまいました。こいつは関西芸人の素質があると思う。

さて、魔法製作所シリーズといえばお決まりのゴロゴロポイントですが……。今回は諸事情から「(現時点では)恋人じゃないけど恋人の振りをしなくてはいけないケイティとオーウェン」の微妙な距離感にとりあえず転がってみました。もうあんたら普通にラブラブカップルだよ!と突っ込みたかったんですが二人ともそのつもりはなかったので、一応偽装カップルです。そして最大の山場はやっぱりラストの「アレ」ですよね。オーウェンのシャイでキュートな心遣いに転がらないのは間違っていると思います。憎い演出がすばらしい。

本国アメリカではここで一端出版がストップしているとのことで、続きが読めません。映画化も決定したらしいのでもしかしたら状況は変わってるかもしれませんが(また今度作者さんのブログを解読してみよう……)。是非是非続きを読みたいんですが、えーと、訳者後書きに出版社の住所とか載ってるんですよ。これはお願いのお手紙を出せということでしょうか同志よ(そんなテクニカルな文書を書けないので一念発起しないと無理)。

コブの怪しい魔法使い (株)魔法製作所
シャンナ・スウェンドソン/今泉敦子
創元推理文庫(2009.02)
ISBN:978-4-488-50305-5
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