そして花嫁は恋を知る 紅の沙漠をわたる姫 / 小田菜摘

本の感想, 作者名 あ行小田菜摘

ブラーナ帝国の占領下にあるネプティス王国の国王のもとに嫁ぐことになった皇女ユスティニア。つい最近皇女になったばかりの”にわか”皇女であるユスティニアはこの役目を拒否できるわけもなく、一路ネプティスの首都マリディに向かい沙漠を進んでいた。しかし一行は、途中反ブラーナ派の反乱軍の襲撃に遭ってしまう。反乱軍の仲間の釈放のために連れ去られたユスティニアは、反乱軍のリーダーのひとりナティールとともにマリディを目指すことになる。


新作出る前につんでたのを読もうシリーズ。
いろんな時代のブラーナ帝国の皇女さまのお輿入れを描いた「そして花嫁は恋を知る」シリーズ第三巻は今までの中で一番昔のお話(第一作の300年前)。沙漠を舞台に繰り広げられる物語でした。「襲撃される・二人で逃避行(?)」から予想される展開でほぼ間違いないかと。ネタとしては(コバルト的にも)とても王道ですが王道で何が悪いとてもいいです。

後書きにもありますように、今回は裏タイトルが「そして花婿は恋を知る」という内容でして……、責任感に燃え自分のやるべき事をしようとするヒーローが前作のヒロインポジションでした。今回のヒロインは「おまえは皇女だよ。嫁ぎな」と嫁に行く直前に宣言された街育ちの「にわか皇女」なので重責に……ということはなくて庶民感覚で皇女としての使命よりも薬師(元の職業)としての使命に燃える心優しげなお嬢さんで、肩肘はってないところとか良かったですね。なにより、前作よりラブ度(微量)アップ!というところが素敵でした(注:あくまで微量)。

普段からあんまり深く考えずに読んでるんで、今回も見事にだまされたーという展開で楽しかったです。ラストはラストでそっちなのかー、という落ち着き方で。後書き読んだら納得ですが、もう一つのラストもそれはそれで良かったのかなぁと思います。が……まあなんにせよとても好みでしたごちそうさま。このシリーズ、若干薄味ながらもやっぱり好きー。

imgそして花嫁は恋を知る 紅の沙漠をわたる姫
小田菜摘/椎名咲月
集英社コバルト文庫(2009.02)
ISBN:978-4-08-601262-1
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