≪世界≫。(上・下) 真・運命のタロット9 / 皆川ゆか

本の感想, お気に入り, 作者名 ま行皆川ゆか

≪愚者≫と≪神の家≫のフェーデのまっただ中にミッドウェイ海域で≪世界≫に飲み込まれた空母エセックスが出現する。思わぬ展開でのフェーデの終了を受けた片桐は、自分のかかわる≪運命のタロット≫の引き起こす争いの意味に苦悩する。一方、大河は≪戦車≫とともに久方ぶりの自室に戻るが、そんな彼の前に現れたのはフェーデを終えた片桐と≪愚者≫で……


運タロ第二部最終巻の二冊組。始まったときはバリバリの少女小説だったのに最後は長編大河SFです。きちんと理解するのには数回読み直さないとたぶん無理(一読だけは大枠で精一杯かな……)。このクラスチェンジがすごすぎます。

とても綺麗につながってしまった最後の最後にとても鳥肌が立ってしまいました。そして一瞬おいてえええええっっ!という驚き。……いくらわたしの洞察力が危険な水準でもこれはさすがに読み間違えてないと思うんだ……。こっち方面予想もなにもしてなかったのでちょっと不意打ちすぎて武者震いというか、考えてみればそれしかないなぁとも思うんですが途中で伏線ありましたっけ?とりあえず、彼の思いに全私が泣いた。

最終巻の始まりは、読んでてとても安心してしまう片桐先輩のターンから。安心するのは、たぶん彼の言葉がよく理解できる、といいますか、一番読者が理解しやすいポジションにいるからなのかなぁと思います。しかし、その片桐先輩がかかわっているフェーデもかなり壮絶でした。
そこから息をつく暇もなく最後まで怒濤の展開が繰り広げられるので追いかけるのに必死でした。起きる事件の派手さから考えると、初っぱなの≪愚者≫と≪神の家≫のフェーデの結末が一番派手でしたが、途中明かされる≪運命のタロット≫の誕生やその存在意義、そして≪世界≫の謎はシリーズ最初の頃では思いもよらないスケールの大きさでただただ唖然。そして、タロットの関係者が悩み、そしてそれぞれの思いや主張をぶつける真っ向勝負がとにかく手に汗握る展開で。

決められた運命にあらがい戦う者、運命の成就のために動く者、ある目的から決められた運命のために戦い続ける者と様々な立場や思いが複雑に絡み合った物語で明かされた謎もあれば謎が謎のままの要素もたくさんあり。正直なところここで終わるのか、第三部は?ととても思ってしまうラストだっただけに続きが……気になります。特に上巻の巻末についてる年表の最後のあたりとか!(注:(上)の巻末についてる年表を見るのは、(下)も読み切ってからじゃないと危険)

≪世界≫。(上) 真・運命のタロット9
皆川ゆか/乱魔猫吉
講談社X文庫ティーンズハート(2004.07)
ISBN:4-06-25950-7
bk1/amazon

≪世界≫。(下) 真・運命のタロット9
皆川ゆか/乱魔猫吉
講談社X文庫ティーンズハート(2004.07)
ISBN:4-06-259591-5
bk1/amazon