彩雲国物語 黄粱の夢 / 雪乃紗衣

本の感想, 作者名 や~わ行・他雪乃紗衣

全てを終わらすために「薔薇姫」の元に向かった”黒狼”こと邵可。そこで殺害対象である薔薇姫と出会った邵可は、先代黒狼が薔薇姫を殺せない理由を知った。そんな邵可が選んだ道は……(「千一夜」)

とりあえずとてもシリアス。

彩雲国物語の中編集。ザビ掲載分の清蘭の少年時代を描いた「鈴蘭の咲く頃に」、清蘭と燕青が「小旋風」と「小棍王」と呼ばれ、伝説の盗賊団を二人で壊滅させた事件の真相を描いた「空の青、風の呼ぶ声」、そして秀麗の両親の出会いの物語「千一夜」の計3中編収録。
どれもこれも(特に秀麗両親物語)物語の核心に近い事が描かれており、外伝というよりむしろ本編を理解する上で必読な話ばっかりだったなぁ。本編ではほのめかされて(とはいっても、わりとわかりやすく)いたことも直球できてました。

で、どれもこれもとてもシリアスでした。特に清蘭が絡むのは全部辛いし、切ない。救いがあるし、いつものノリで笑いもあるんだけど、でも清蘭や燕青の前に立ちはだかるものが大きすぎて。よくもまあ悪の道に進まず(多少の歪みはありますが)大人になったものです。

そして、彩雲国物語はなんて超人ばかりなんだ!と改めて実感しました。中編集だったせいか、某ドラゴン○ールのように強さのインフレがさらに際だっていたというかその年齢でそれはもう人間じゃないよ!的強さが。でも、えーと、彩雲国だし……(これで納得したらしい)。仙人がいる世界だし仙人と人間の中間くらいの人もたくさんいそうだし、きっとみんな純人間じゃなくていろいろあるんだよ、ということにしておこうと思います。

img彩雲国物語 黄粱の夢
雪乃紗衣/由羅カイリ
角川ビーンズ文庫(2009.05)
ISBN:978-4-04-449918-1
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