黄金の王 白銀の王 / 沢村凜

本の感想, 作者名 さ行沢村凜

翠国の玉座を巡り、長年骨肉の争いを繰り広げてきた鳳穐一族と旺廈一族。鳳穐出身の国王・櫓は幽閉していた旺廈の首領・薫衣を中央に呼び出し、鳳穐も旺廈もない国造りを行うことを提案する。かくて、櫓と薫衣の長く険しい戦いが始まった。

二人の「王」が国の歴史に立ち向かい、新しい国の形を作ろうとするお話でした。

とても良質のファンタジーだよー、おもしろいよーという電波をいくつか受信したので読んでみました。初めて読む作家さんだったのでまずは文体が合わなかったらどうしようという不安があったのですが、そんなこともなく。やさしめの語り口にだまされかけましたが、結構えげつない展開のオンパレードです。しかし面白かった。

櫓と薫衣が密かに同盟を組みたった二人で目指す国造り、とても面白かったです。ことあるごとにいろんな壁にぶつかっていって、全てがうまくいくわけではないのですがそれでもその時点での最良の道を選び信じ進んでいく櫓と薫衣の絶妙な(?)コンビネーションが良かったです。薫衣の暴走に櫓がきーーっってなったりしてるところもありましたが。特に薫衣の信念を持って立ち向かう姿は格好良かった。

全編にわたってだいたい怒濤の展開で、最後の最後まで気の休まらないお話でしたが、最後まで読むんでああ報われたのだなぁ、とようやく思えるような、そんなジェットコースターな物語。
しかし、同時にえ、その数行?と思わなくもないけど、長い歴史の中からすれば彼らの生きた時代など一瞬なんだ、とそんなもの悲しさも感じてしまう物語でもありました。

img黄金の王 白銀の王
沢村凜
幻冬舎(2007.10)
ISBN:78-4-344-0139-8
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