ヴァンパイア執事 お嬢様と幸福の人形 / 入皐

本の感想, 作者名 あ行入皐

シシリア公国の聖少女としてあがめ奉られているレイラは、とある貴族が入手したという「幸福の使者」と呼ばれる人形のお披露目の席に出席する。しかし、件の人形は何者かに盗まれており、さらに街では謎の毒で人々が倒れるという事件が勃発する。人形捜しと毒の出所を探ることにしたレイラと執事のダリウスは……

お嬢様命の吸血鬼執事と、執事への思いを自覚してしまったお嬢様のじれったい物語でした。

今回もとても執事でヴァンパイアでした。もうこれは素材の選択とその調理方法が見事にマッチした作品ですね、ごちそうさま。前回ギリギリや!とわたくしが判断を下しました吸血シーン、更にパワーアップしていてとてもエロスでした。これ、あと一歩先に進んだらティアラ文庫……。

不思議な人形の真相と毒問題がひとつに収斂していくところはなるほどなぁと思ったり、お嬢様を狙うさわやか女たらしの出現でダリウスピンチ!というところは少女小説的にいいなぁと思ったりしましたが、今回はやはりレイラの自覚とダリウスの執事としての立場から一歩踏み出せなくて悶々とするあの姿!がとてもじれったくてはらはらドキドキですね。
ダリウスの最大の敵もようやくその姿を現したところで、どんな展開になるのか楽しみです。

ヴァンパイア執事 お嬢様と幸福の人形
入皐/池上紗京
一迅社アイリス文庫(2009.06)
ISBN:978-4-7580-4084-6
bk1/amazon