蒼月流れて華が散る 絶華の姫 / 南咲麒麟

本の感想, 作者名 な行南咲麒麟

元気と食い気が取り柄の琶遥は幼なじみの蒼翼と二人で逃避行の旅を続けていた。「絶華の姫」と呼ばれる、手に入れた者は天下を手に入れられるというその伝説の姫であるらしい琶遥を狙って皇帝

素直になれない幼なじみ同士。これだけでご飯3杯(以下略

なんちゃって中華モノ。手に入れた者に繁栄をもたらすという「絶華の姫」であることを理由にその身を狙われる女の子・琶遥と、彼女を守る幼なじみ蒼翼、そして二人の良き理解者であり人としての限界を軽く超えてる意味の分からないお師匠様、そして皇帝とは別ルートで琶遥に接触し、彼女を後宮に迎えようとする官吏が織りなす物語でした。

素直になれない幼なじみ、これに尽きる。ひさしぶりにいい幼なじみモノを読んだ気がします。
蒼翼は最初からはっきり自覚しているけど、どうしても想いをつたえることができない。琶遥は大切な人を守るためにある決断をするが、その決断から自分の想いに気付く、というこのゴロゴロ展開がいいですね。やっぱり女の子向けの小説はこうでなくてはなぁという展開を余すことなくたどっていってくれるのでとても安心設計です。若干大人向けのシーンもありますが、これ読まなくても話通じるように思うので、このシーンを理由に読まないのはちょっともったいないかもと思ってしまったり。

謎の官吏とか、謎のお師匠様とかはある程度謎に包まれたままなのでちょっと気になったりも。物語終了後の二人は最強そうだなぁ。幼なじみ関係以外ははなんというかちょっとというかかなり薄めなんですが、幼なじみに満足できたらたぶんそれでいいと思います。

蒼月流れて華が散る 絶華の姫
南咲麒麟/香坂ゆう
ティアラ文庫(2009.08)
ISBN:978-4-8296-6512-1
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