暁と黄昏の狭間 鳳船の書 IV / 西魚リツコ

本の感想, 作者名 な行西魚リツコ

ギルダン=レイと別れ、セゲド族を連れ故国であるドムオイに向かったセフルは、途中水賊の根城「渦見城」で足止めを食らう。折良くリヴォに反旗を翻したゼメンスタンの軍が渦見城に攻め込んだのに乗じてセゲド族の一行と城から逃げ出すが、海の難所を越えることがでず……。一方のギルダン=レイはボルジの呪いと共にリヴォのスジャワを目指していた。

骨太ファンタジー第五巻で最終巻。最後まで骨太でした。

いやもうなんというか、ここまでどうなってこうなったかというストーリーの説明ができないんですが、とにかく「暁と黄昏の狭間」最終巻。一巻からとにかく主人公に容赦ない展開の連続で読んでいて辛いものがありましたが、それは最後まで変わらず。やっぱり最終巻でも主人公に容赦のない展開で、どうなるか予測も付かずはらはらドキドキ感を最後まで味わっておりました。

ただ、1巻目と最終巻の違いといえば、セフルに「仲間」がいること。そして、セフルにとってギルダン=レイという存在があること。さらに彼女がここまでくるのに様々な人に出会い、助けられ、彼女の心の支えになっているところは大きな違いだなぁと思いました。1巻時のつらめの展開でもへこたれなかった彼女もすごいなぁと思いましたが、序盤に比べて明らかに成長しているセフルも心強かったです。

私ここまでヒーローとヒロインが別行動しまくりな本久しぶりに読んだわっていうくらい甘さは少ないかもしませんが(でも肝心なところではこれだよこれ、と思える)、とにかく読み応えがありました。いろいろ容赦なく進んでいく上に(個人的に)ヘビーな描写も多く幾度か躓きかけましたが、最後まで読んで、読めてよかったなぁと思うシリーズでした。

img暁と黄昏の狭間 鳳船の書 IV
西魚リツコ/D-SUZUKI
トクマ・ノベルズEdge
ISBN:978-4-19-850840-1
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