イリアディスの乙女~封印の巫女と夜の神~ / 神埜明美

本の感想, お気に入り, 作者名 か行神埜明美

八百万の神がおわす世界で、神々と人との仲介役を果たし悪しき神を封印することのできる唯一の存在である「鎖の巫女」。その当代の鎖の巫女・シェリスは巫女に必須の能力である「鎖」を出すことができず、神殿から出ることのない日々を送っていた。ある日、シェリスは迷い込んだ地下室で封印されていた夜の神アストロの封印を解いてしまった上に、初めて出すことのできた「鎖」がアストロと自分を繋いでしまう。先代の巫女がある目的からアストロを封印したらしいのだが……

巫女さんと神様の恋物語序章。おお、結構好み。

ありとあらゆる神様がいる世界の巫女さん・シェリス(自称落ちこぼれ)と、諸処の事情から封印されていた強力な神様アストロがいろいろあって仲良くなるお話。先代の超有能な巫女の残した言葉から肩身の狭い思いをしていたシェリスが、仲の良い神様や幼なじみ、そしてアストロの力を借りながら一歩前進した姿が良かったです。

シェリスの悩み具合があまりうっとうしく無かったのが一番ポイントが高いかもです。そしてシェリスの一番のライバルが今は亡き先代の巫女とか……!「今は亡き」がライバルというのはよくあるパターンですが、わりと好みです。先代の足跡をたどって、彼女が何を考えていたのか、彼女の人となりがどんなだったかということが次第に明らかになって……というパターンはとても好みです。シェリスのがんばり具合が思わず見守ってあげたい系だっただけに、好みでした。

最後の最後に先代の残した言葉の意味が明かされ、わーきつい展開になりそう!と思いながらも続きが楽しみです。アストロもいいけど幼なじみもいいね!がんばれ。あと、穀物の神様との友情とかも好きなので、次以降も活躍してほしいなぁ。

imgイリアディスの乙女~封印の巫女と夜の神~
神埜明美/由利子
集英社コバルト文庫(2009.03)
ISBN:978-4-08-601273-7
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