夜の虹 / 毛利志生子

本の感想, 作者名 ま行毛利志生子

十九世紀の帝政ロシア。事業家として成功した伯父の元で暮らすオリガは、幼い頃の父の謎の失踪をきっかけに、過去に死んだ者の死の直前の行動が見えてしまうという能力に目覚めてしまう。ある日、趣味の絵を描きに公園に向かったオリガは、ある少年の死の直前の姿を見てしまう。

読了後、まずはロシア料理店を検索した。

ロシアを舞台に、不思議なものが見える女の子と彼女を取り巻く男性陣の物語。不思議な能力と画力と人脈を利用して事件の真相に迫るオリガが頼もしかったです。かわいいなぁ。そして、男性陣は「婚約者、飛ばされてきた警察署副署長、軍人」と三人なんですがそれぞれに趣深かったです。……婚約者がかなり空気なので、シリーズ化されるのであれば今後に期待です。

男性陣に取り巻かれているのにヒロイン・オリガが警戒心丸出しで、まるでさわれるのをいやがる猫のごとく「しゃーっ!」という態度なのがおもしろかったです。オリガの置かれている立場と隠している秘密(不思議なものが見える)というからは彼女の態度も納得なのですが。そしてそんな彼女をはからずしも懐柔しつつある副署長さんが謎。なんだかつかみ所のない人だなぁと思っていたんですが、本誌で彼が主人公の話がある、と。最近結構本誌買ってる(けど大方積んでる)のでちょっと発掘してみよう。

おいしそうな料理がたくさん出てきたので、ロシア料理を食べたくなりました。

img夜の虹
毛利志生子/増田メグミ
集英社コバルト文庫(2009.12)
ISBN:978-4-08-601354-3
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