最後のひとりが死に絶えるまで / 我鳥彩子

本の感想, 作者名 や~わ行・他我鳥彩子

国の至宝≪創世の石≫を盗まれたことで国を追われたラエルは、国を取りもどすために≪創世の至宝≫を盗んだ天才調香師エォンを追っていた。やっとエォンに追いついたラエルだが、≪創世の至宝≫はエォンの同行者である謎の少女レクィエが「食べて」しまったという。なんとしても≪創世の至宝≫を取りもどしたいラエルはレクィエを国に連れて行くことにするが、レクィエは神殿から命を狙われていた。

神様関係が興味をひいた。

2009年度コバルト文庫ロマン大賞佳作受賞作。
おっかないタイトルですが、おどろおどろしい物語でもなく、しかしながらタイトルその通りのお話でした。

話の展開とか、決して完璧ではない「神様」が作った世界の成り立ちとかはとても好みなんですが、どうも登場人物たちの行動があまり釈然とせずあんまり乗り切れませんでした。レクィエの切ない想いなんかはくぅーっ切ない、この切なさはいいと思う一方で、一般的な感覚が通用しないとは分かりつつも一方的な依存関係が若干気持ち悪いというか……。
あとは、視点の切り替えが多かったのも乗り切れなかった理由かもしれません。それぞれの背景が次々にあかされていくという点ではとても効果的だとは思うのですが、話が若干ブツ切れっぽく感じてしまったのが残念。もうちょっと自然に切り替わっていくと良かったのですが。

となんやかんやと思うところはありますが、全体的な雰囲気は好きなので次回作も気にしておこうと思います。

img最後のひとりが死に絶えるまで
我鳥彩子/水谷悠珠
集英社コバルト文庫(2009.11)
ISBN:978-4-08-601353-6
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