夜来香幻想曲 はじまりは異国の王子様 / ひずき優

本の感想, 作者名 は行ひずき優

名門ホテル「アスターパレス」のホテルオーナー業の修業の一環としてフロント係の仕事を始めたキヨは、キヨが想いを寄せるアーウィンのもてっぷりにやきもきしつつ、周囲に助けられながらなんとか日々を過ごしていた。ある日、アスターパレスホテルに巷で話題沸騰の王子様が宿泊することになる。とある理由から滞在を引き延ばしたい王子様は、キヨに一目惚れをしたという狂言にキヨを巻き込んでくる。

キヨを巡る泥沼化と思えば、アーウィン方面で泥沼の開始。

上海っぽい外国人街を舞台に、にわかにホテルオーナーになったお嬢さんとそのお嬢さんをささえる謎の青年の話第二弾。ゲストキャラの王子様が物語を引っかき回すのかと思いきや、物語を引っかき回したのはアーウィンの元彼女でした。表の世界しか知らないお嬢さん対酸いも甘いも知り尽くしている妖艶な美女……キヨには分が悪すぎるのですがアーウィンがそもそもぞっこんなので勝負にならないとか何とか。

事件関係はそんなにややこしくもなく、さらっと終わってしまったのでもう一ひねりほしかったかな?と思いますがキヨが一生懸命だったので楽しかったです。いろいろつっこみ所はあるんですが(主にアーウィンの万能ぶりについて)、健気なキヨがかわいいのでまあいいかな、という許せてしまう不思議。そして今から泥沼の女の争いか!という幕引きでどうも打ち切(略)。とは思いたくないんですが、続きは出ないのでしょうか?こんな泥沼のゴングが打ち鳴らされたところで次が出ないというのももったいないなぁと思いますのでそこはかとなく期待。

あと、アンソニー氏にもっとスポットライトを!(話が変わります

img夜来香幻想曲 はじまりは異国の王子様
ひずき優/香坂ゆう
集英社コバルト文庫(2009.09)
ISBN:978-4-08-601332-1
bk1/amazon