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花咲く丘の小さな貴婦人 荒野へ、心に花束を抱いて / 谷瑞恵

新校長の方針で男子校での授業を受けられなくなってしまったエリカ達は、下級生と一緒に勉強会を開くことで勉強を続けられる場をなくさないようにと奔走する。そして、学校を卒業後、オールソップの当主として街に残ったエリカは連絡のとぎれたジェラルドを心配しながら、女準男爵としての道を歩み始める。

卒業後の大人編で大満足の最終話でした。

日本人の母とイギリス上流階級出身の父を持つエリカが、両親の死をきっかけにイギリスに赴き、全寮制の女子校に入学。無事学校を卒業した後に祖母のあとを継ぎ立派に当主となるまで編。ラブロマンスも決着するよ!というお話でした。エリカとジェラルドは「互いを思うが故のすれ違い」となってしまっているのでこのすれ違いにじれじれしすぎました。

実家が没落して音信不通となるジェラルド。たくましく生きていそうな気がしましたが、その冒険っぷりにちょっと笑っちゃいました……笑う所じゃないんですが……面白くて……。そして華麗にエリカの前に登場!というところで間が悪すぎたところにも少し笑いました……笑う所じゃないんですが……普段の行いが悪いから彼……。
対するエリカの当主としての決意とその実行力も読んでいてすかっとしてよかったです。まだまだ女性が認められていない時代の中で奮闘するエリカがかっこいい。彼女に果敢にアタックするヴィクターの斜め上を行く(しかしこの時代では普通)のエリカへの態度にいい人なんだけどなーと思う一方でイラっとしつつ、彼にも幸せになってほしいなぁ、などと。ロジャーとエリカのあのシーンに関しては、本気で涙が止まりませんでした。私、本読んで涙出たの数えるほどしかないんですが……ロジャーはどんなときでもエリカの一番の理解者なんだな、と思います。
そして、エリカの学友であるイザベラとドロシーの歩んだ道がとても予想外でした。特に、一番堅実な人生を歩みそうなイザベラが一番波瀾万丈。エリカ以上に厳しい道を進むことを選んだイザベラ、そして彼女を見守ることにした「彼」がとても印象的です。ドロシーもよく考えてみると一番「らしい」道を選び取ったのかなぁと思います。

それぞれの決着編なので、エリカやジェラルドを含め少し駆け足かなぁと思わないでもないですが、とても綺麗にエンディングを迎えておりとても満足。女性が自由になれるまではもう少し時間が必要な時代で、前を向いて果敢に挑むヒロインをはじめとする女性陣、そして彼女らと関わり成長していく男性陣がとても格好良いよい物語でした。

img花咲く丘の小さな貴婦人 荒野へ、心に花束を抱いて(前編)
谷瑞恵/桃川春日子
集英社コバルト文庫(2010.02)
ISBN:978-4-08-601374-1
bk1/amazon

img花咲く丘の小さな貴婦人 荒野へ、心に花束を抱いて(後編)
谷瑞恵/桃川春日子
集英社コバルト文庫(2010.03)
ISBN:978-4-08-601384-0
bk1/amazon


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