花迷宮 / 本宮ことは

本の感想, お気に入り, 作者名 ま行本宮ことは

身寄りを亡くした幼い少女を拾い、信頼できる友人に託した王城の衛士の菖莉。そして、その少女は帰蝶と名付けられ、育ての親にも恵まれ美しく育った。帰蝶は菖莉を想っていたが、菖莉はそんな帰蝶から距離を置こうとし……。

切なくて、でも少し幸せで。素晴らしい年の差胸キュンストーリーでした。

雪迷宮に続くノベルズ第2弾。前作と話はつながっていないものの舞台が同じなので前巻を読んでいた方が楽しめるかな、というお話でした(そして、今作→前作の順に読むと前作のネタバレ満載なので、読むのなら順番通りが良いかと)。最後の落ち着け方は前作もあったしもしかしたらアレかな?というところで着地したので前ほど驚きはしなかったのですが……いやしかし、そこにたどり着くまでがもう素晴らしかったのです。今回、物語の合間にはさまれるのは菖莉からの手紙。キーポイントとなるアイテムでもある手紙がどうなるかは……読んでからのお楽しみということで。

菖莉に憧れを抱き続ける帰蝶と、帰蝶の人生を奪ってしまうわけにはいかないと距離を置き始める菖莉の切ないすれ違いがとてもじんわりきます。お互いにお互いが大切だからこそのこのすれ違い!帰蝶の周りの人の優しさや暖かさも良かったなぁ。この物語の雰囲気が素敵すぎます。

それにしても、読み切りだととても綺麗に完結しているのにシリーズ物のアレとかどうして話が進まないんだろうと思わなくもないです(好きだけど)。この調子で、とはいいませんが、焦らされ感が最近酷いので(一応ほめてます)、読み切りみたいにいかないかなぁと思わなくも……。

img花迷宮
本宮ことは/藤ちょこ
幻狼ファンタジアノベルズ(2010.04)
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