風の王国 王太子の花嫁 / 毛利志生子

本の感想, 作者名 ま行毛利志生子

リジムの喪が明け、ソンツェン・ガムポ大王との結婚に望むこととなった翠蘭は、結婚式の当日に大王の体調が思わしくないことを知る。大王は王太子であるラセルの地位を固めるため、ツァンツーを治めるド氏の一族からラセルの花嫁を選ぶようにと翠蘭をツァンツーに送り込む。

あっちへいったりこっちへ行ったりと翠蘭の移動距離すごい。

シリーズ21冊目(たぶん)のラセル嫁取り物語、前編(おさまりきらなかったらしい)。そしてどことなくプロジェクトX風味に感じてしまいました。翠蘭が何かするとプロジェクトXっぽくなるんですよね……。コバルト文庫なのにお相手が亡くなった後にも容赦なく物語は続き、そしてついにお相手の父親と再婚、とか史実に忠実(と思われます。詳しくないので断言できませんが)進んでいくとか、たまにこのシリーズが出ているレーベルを忘れそうになりますね。……その罪滅ぼしか、ここ数巻はカラーピンナップがついてるとかいうおまけ付きですが。

翠蘭が母として王妃として、嫁を見定めに行った地でこれまたいろいろやっかいごとに巻き込まれます。ド氏の一族内権力争いがこれまたどろどろしていて……しかもあの人とかこの人とか、嫌な人はすっごくほんとうに虫唾が走るくらい嫌な人として描かれてるのでわかりやすくていいです。後半にどんでん返しが……あるかもですが。

嫁候補として出てきた少女達は、四者四様でどの子が来るかまだまだわかりません。一人はあり得ないーと思いますが、後はどの子が来てもおかしくないな、とか思ってします。さて、どの子が選ばれるのか、ド氏の酷いあの人に鉄拳制裁はあるのか、あのお兄ちゃんにも怒りの鉄槌は下るのか、後編も楽しみです。

img風の王国 王太子の花嫁
毛利志生子/増田メグミ
集英社コバルト文庫(2010.11)
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