風水天戯 巻之一 開け!運命の扉 / 望月もらん

本の感想, 作者名 ま行望月もらん

有力な後見をもたず、宮廷内でも誰にも顧みられることのない存在である第八公子の星淑は、異母兄にいじめられていたところをとある宮女に助けられる。恩返しのために彼女の超絶汚い部屋を宮廷で話題の風水術を使ってきれいにしようとする星淑は、書庫で古ぼけた羅盤を見つけ、それにとりついていたミニサイズの仙人に風水を学ぶことになるになるが……

主人公のヘタレぶりがちょっと新鮮。

第8回角川ビーンズ小説大賞≪大賞≫受賞作。8回目にして初めての大賞受賞作のようです。大賞受賞のせいか、イラストが超有名なマンガ家さん……ですが個人的にはマンガは読んだことあるけど全部読んだわけでもないのでふーんとしか思わなかったというかそのおかげかしょうじょしょうせつっぽくなかったかなとか思いました。

それはともかく、中華風の宮廷を舞台に繰り広げられる、みそっかす公子とミニサイズ仙人の風水世直し物語、と思って読みました。風水部分はさわったことも考えたこともないので(脚色がまじっているとはいえ)すごいなーと半分斜め読みでよんでたとかいうのはここだけの秘密だ。
主人公の星淑のへたれっぷりが近年読んだ小説の中でも一・二を争うくらいで新鮮だったなぁ……。最後は最後でみそっかす返上の芯の強いところを見られたり、と今後の成長が楽しみな主人公であります。あと、苦労性のお兄ちゃんはどこの作品でもきらりと光るすばらしさがあります。

が、個人的に、これが大賞なのかーと(大賞と聞いて期待しちゃった面もありますが)ちょっと物足りないようにも思ってしまいます。面白い・面白くないは個々人で感じ方が違うのであくまでも個人的な意見なのですが……。安定して読めるという点ではさすがに受賞作だな、とは思いましたし、題材も面白いんだけど、うまくは言えませんが華が足りないように感じました。

img風水天戯 巻之一 開け!運命の扉
望月もらん/藤崎竜
角川ビーンズ文庫(201.12)
bk1/amazon