騎士から逃げた花嫁 / リン・カーランド

本の感想, 作者名 か行リン・カーランド

フランス貴族の娘・エレオノールは義母が整えた嫁ぎ先が大陸にもその名を轟かすイングランドの騎士、バーカムシャーのコリンと知り、逃げることを決意する。「騎士アンリ」と名乗りどうにかこうにか2年間逃げ延びたエレオノールだったが、仕えている令嬢が近々結婚する、その相手がコリント知り大あわて。令嬢に付き添ってイングランドに向かうことになったエレオノールは、何とか隙を見て逃げだそうとするが、花嫁を迎えに来たコリンが「騎士アンリ」のふがいなさに一人前の騎士に育て上げると妙な使命感に目覚めてしまう。

面白かった!男装なんだけど、なんだけど……!

前作のスピンオフ作品。前作主人公のクリスの親友で、「殺戮者」などと酷い名前を大陸にも轟かせているコリンが無事花嫁さんをもらって幸せになるお話。
不作法だわ野蛮だわ臭いわ人の心の機微にうとそうだわでこんなコリンにロマンスが発生するのか!と正直心配しながら読んでましたが、ちゃんと発生した……!
最初はエレオノール扮する騎士アンリを鍛え上げようとするコリンと必死にそれに付いていくエレオノールのやりとりが面白くて、(色恋沙汰とは違った意味で)ニヤニヤしながら読んでました。
そして、次は次第にアンリの正体に近付いていくコリンにニヤニヤと……おかしい、コリンがかわいく見えるなんて何の目の錯覚。恋は人を変えるを地でいき、コリンが変わっていく様子、そしてそんなコリンに惹かれていくエレオノールがかわいらしく良かったです。

男装モノですが「きりりとした男装」ではなく「思わず鍛えたくなるような男装」というところも面白かったな。コリンに鍛えられてだんだんとたくましくなるエレオノールなんかも良かったなぁ。ヒロインがかなり行動的で、前作より好みかも。

img騎士から逃げた花嫁
リン・カーランド/旦紀子(訳)
ラズベリーブックス(2008.08)
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