秋宵の花嫁 / 仁賀奈

本の感想, 作者名 な行仁賀奈

父を亡くし奉公先で虐げられていた手鞠は、幼いころ結婚の約束を交わした頼重と偶然再会する。頼重により彼のもとに引き取られることになった手鞠は、なぜか父が逃げるようにして手鞠を連れ出した村に十年ぶりに帰ってくる。父が手鞠を連れて村を出た理由は、頼重に課されるとある祭祀に関係あるらしいが…

個人的には次男だけどなー、次男だけどな!(わかりやすい)

ちょっと大人なレーベルで活躍中の作者さんの、いわゆる年齢制限なしのお話。読んだことある話の展開がかなり王道で期待を裏切らない感じだったので、レガロのお話はそんなにはずれがないこともあり読んでみました。
天涯孤独な健気なヒロインに対しますのは、幼いころの婚約者(長男)、ヒロインが好きなのに素直になれなくて態度がきつい次男、一番常識人っぽいけど無邪気な三男、三男と双子でとあることが理由で夢の世界の住人でこちらも大変無邪気な四男の四兄弟。ヒロインは長男しか見えてないので弟たちに勝ち目はゼロなんですが、腹黒長男より次男のほうが幸せになれると思うわ!

と本筋から離れたところで熱くなっていますが、大正時代くらい?なのかな、なんだかそういう感じのちょっと昔の日本の、田舎の「怪奇」を題材とした物語でした。面白いと言えば面白いんだけど、ヒロインがちょっと盲目的に長男を信じすぎているところと(普通、全力で逃げるだろうこれは…)、長男の手鞠への執着と思いやりとあきらめのバランスがなんだかしっくりこなくて(あんな運命背負わされてたらそりゃアンバランスにもなるだろうけど)、さらになんというか全体的にもう一歩、という印象が最後までぬぐえなかったように思います。本筋自体はなかなか楽しめたんですが。ちょっと残念。

img秋宵の花嫁
仁賀奈/えとう綺羅
レガロ(2011.06)
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