最果ての少年 熱砂の巨兵1 / 黒川裕子

本の感想, 作者名 か行黒川裕子

独楽風と呼ばれる風の壁に遮られ、外の世界と数百年間隔離された村で育ったカルスは外の世界に強いあこがれを抱いていた。成人の日の夜に、急に独楽風が止み外に出るチャンスが訪れるが、村に外からやってきた軍団が現れ、カルスの村を滅ぼす。義姉と兄貴分の青年と命からがら逃げ出したカルスだったが、外の世界は想像以上に過酷な世界だった。

序盤から中盤にかけて、心の涙で前が見えなかった。

前作に引き続きの骨太ファンタジーの黒川さんの新作。上に書いたあらすじはかなりハショリまくっている上に、一番大事な魅力をまーったく書いていないので軽く自己嫌悪なのですが……今回の世界もとても魅力的で、物語に引きずり込まれました。正しくはこのあたりのファンタジーとしての魅力を語らねばならないところですが、文章力も知識も皆無なのでお気楽にあほな感想をば…(つまり、いつも通り)。

最初はこの兄貴分と兄貴分に噛みつくカルスの珍道中になるのかなぁとのほほんと読んでいたんですが、読んでいたんですが!ざっくりざっくりかなりきつい展開の連続で、もうなんというか心の涙で前が見えず、一気に読めなくてちょこちょこ読んでいました。ようやく逃げ出したと思ったらまたもや(エンドレス)。そんな中、かなりひどい人ですがある誓いを果たすまでになった「舟守」のシーバが出てくるあたりからは(こっちもきつい展開の連続とはいえ)ちょっと安心して読めるようになってきて一気に読了。やっぱり、こう、頼れるアニキ(主人公に対してツンデレ属性)っていいですよね。

カルスの秘めた力やその出生の秘密に加えて、義姉のジュリンにもなにかいろいろありそうで、そのあたりの背景が語られるのが楽しみです。ちょっとずつカルスが成長していく成長物語としても楽しめそうで、続きも楽しみ。

img最果ての少年 熱砂の巨兵1
黒川裕子/為重英子
C-Novels Fantasia(2011.08)
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