とらわれ舞姫の受難 はた迷惑な求愛者 / 雨川恵

本の感想, 作者名 あ行雨川恵

闘技場で試合を盛り上げる存在である「剣ノ舞姫」のルーナは、宴での剣舞を請われて貴族の館に向かうが、なぜか皇宮騎士の追われるはめに陥る。逃げ込んだ先で出会った謎の青年イシュトに助けられたルーナだが、イシュトは昔からルーナのことを知っているらしく、しかもルーナに愛を告げて……

ルーナがおっとこまえ。

「印持ち」と呼ばれる貴族のみが魔法を使える国フォーセガルドで、フォーセガルドの魔法の理が通用しない体質のルーナと、ルーナを保護すると見せかけて自身の邸宅に「監禁」する謎の青年イシュトの物語。そのルーナの力を狙って繰り広げられる宮廷陰謀の開幕編かな。

ストーカーとしか思えないような行動に加えて、ルーナを愛していると言いながらもどこか中身を伴っていないイシュトと、イシュトに対して直球勝負のルーナのやり取りが面白かったです。イシュトの正体に関しては、考えてみれば確かにそっちかぁと思うんですが、読んでいる途中はルーナを追い回していたロキシスと逆の位置かと思っていたので(実力者かつ稀代の魔法使いとかそんな感じ)なるほどなぁ、と。
今後はルーナと関わっていくうちにイシュトがこれからどう変わっていくのか、そして帝国がどう変わっていくのかがポイントになっていきそうですね。

imgとらわれ舞姫の受難 はた迷惑な求愛者
雨川恵/まち
角川ビーンズ文庫(2012.02)
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