嘘つきは姫君のはじまり 貴公子は恋の迷惑 / 松田志乃ぶ

本の感想, 作者名 ま行松田志乃ぶ

宮子の入内もつつがなく終了し、それぞれが落ち着くべきところに落ち着いたように思われていたが、有子姫は真幸への想いを胸に秘め続けていた。そんな有子姫のために、大姫はある行動を起こす。

有子姫と真幸の想いと、親の想いと、親友の想いと。

シリーズ完結後のおまけ短篇集2分冊の二冊目で今度こそ最終巻。掲題作のとある姫君とその女房、従者の苦難を描いた「貴公子は恋の迷惑」、馨子姫と宮子と関わりのあったある貴公子との交流を描いた「馨子姫と恋知らずの貴公子」、有子姫と真幸の決着を描いた「愛しき言つくしてよ」、さらにwebで公開されたショートストーリーなんかも収録した豪華な短篇集でした。

掲題作が思いのほか面白く、この人達の物語はもうちょっと読んでみたい!と思いました。このお話に出てくる女性陣はみなさん強くてしたたかで、そして可愛くていいなぁ。さらに、馨子姫の恋の遍歴の物語ですが、こっちも面白かったですねぇ。もしかして、ちい姫のお父さんは……というような、とちょっとした楽しみもありました。そして圧巻はやはり有子姫と真幸の物語。幼馴染派としては真幸が幸せになってくれたら、そして有子姫も幸せになれるのなら!とはらはらドキドキの展開だったんですが、無事丸く収まってよかったです。有子姫と真幸の物語はタイトルとその由来する歌も憎いなぁ。

とてもよい短篇集でした!満足!

img嘘つきは姫君のはじまり 貴公子は恋の迷惑
松田志乃ぶ/四位広猫
集英社コバルト文庫(2012.03)
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