贅沢な身の上 ときめきは海を越えて! / 我鳥彩子

本の感想, 作者名 や~わ行・他我鳥彩子

三食昼寝付きの後宮で趣味に邁進しようと目論んでいた花蓮だが、皇帝・天綸に見初められるという想定外の展開を迎えてしまう。何とかマイペースに天綸を交わしていた花蓮は、ある日町中で官吏に追われていた留学生真奏を助ける。同じ妄想族の真奏と意気投合した花蓮は、真奏が巻き込まれている厄介事を解決することを請け負い……

陛下の残念度がパワーアップしている。

そのたくましい妄想力で事件を解決してしまうパワフルな花蓮と、ヒロインに全く相手にされないものの猛アタックをかける天綸とのコメディしかないラブコメ第二巻。サブタイトルからして、天綸のライバル出現かと思えば、本気で「ときめき」が海を越えてやってきていました。花蓮の同族……この二人の意気投合っぷりが面白かったです。
面白かったといえば、妄想のオカズにされた天綸の腹心・理央の苦悩の日々も面白いですね。やればできる子の天綸がまったくできない子街道まっしぐらで、ちょっとくらいかっこよくなるかと思えば残念度に磨きがかかってきているようで、そりゃ眉間の皺も深くなりますわな、という展開で思わず合掌でした。

背後でうごめく陰謀!というたぐいのものは、今のところ片鱗すらみえず、ただただ軽くラブコメが楽しいシリーズ、なのかな。もうそろそろ天綸のかっこいいところも見たいので、期待してます。

贅沢な身の上 ときめきは海を越えて!
我鳥彩子/犀川夏生
集英社コバルト文庫(2011.09)
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