トッカン the 3rd おばけなんてないさ / 高殿円

本の感想, 作者名 た行高殿円

特別国税徴収官(トッカン)の鏡付きの徴収官であるぐー子こと鈴宮深樹は、鬼上司の鏡にいびられつつも徴収官として少しずつ成長していた。そんなぐー子の担当する滞納会社の調査のため、ぐー子は鏡とともに栃木にまで出向くことになる。栃木は鏡の出身地てもあり、そこで鏡は昔なじみと再会する。

空飛ぶぐー子。合掌。って、表紙でも飛んでるのに今気づいた!

主人公のぐー子と同世代くらいの働く女性が読んだらきっといろいろいたたまれなくなるというかなんというかなんだけどすごい面白いよ!という税務署のお仕事モノ第三巻。自分の過去の感想見てると、どうも1・2巻の感想書いてないようなんですが、これはきっといたたまれなさ過ぎて感想書くところまで気力が続かなかったんだな!という気がします。3巻は(やっぱり若干いたたまれないものの)ぐー子が立派に成長して、いたたまれなさは前よりちょっとマシな、そんなお話でした。

今回は栃木に関わる事件2件+都内のある酒屋さんの滞納事件1件の計3件の物語。どちらも後味がすっごく悪いんですが、このシリーズはこの後味の悪さも醍醐味の一つかなぁ、と思っていますので……。それにしても、酒屋さんの件はえらくタイムリーなお話だなぁと思いました。
そして、全体を通して、シリーズ開始時と比較してぐー子の成長ぶりに、思わずガッツポーズをしてしまいそうになりました。空飛ぶぐー子ちゃんとか……いや、わたしもなんだかああなるんじゃないかという予想はしてたんですが、まさか、署長(笑)。

後味は悪いんですが、こう、天引きで納税しているしがない会社員としてはちょっとスカッとするところも事実であったりしますし、続きも楽しみにしております。

トッカン the 3rd おばけなんてないさ
高殿円
早川書房(2012.06)
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