鬼舞 見習い陰陽師と災厄の薫香 / 瀬川貴次

本の感想, 作者名 さ行瀬川貴次

鬼の襲撃を受けた陰陽師寮もすぐに復旧したが、間を置かずして内裏にあの時と同じく、人を狂気に駆り立てる香が充満してしまう。道冬は綱や吉昌とともに香の原因を追って内裏を奔走するが、彼らの前に最悪の敵が立ちはだかる。

付喪神連合が思いの外頼りになってちょっとうるっときた。

前回から引き続き、魔のお香編のオトシマエ編。宮中にあだなす者達のアレコレ、道冬の従者・行近の秘密に晴明の(ちょっと)本気など読みごたえがありました。特に行近はなるほど、と。真実を知ってしまった道冬の動揺と、そこからの道冬の道冬らしい考え方がいいなぁと感じました。やっぱり道冬、いい子。いい子といえば、付喪神連合軍の驚きの強さにびっくりしました。いや、付喪神というか融の大臣の頼り甲斐というか。さすが大臣、和みつつ(そして瓜実顔の真顔を想像するとかなり笑えるけど)、そしてほっとしつつで楽しかったです。あべさんちの兄弟対決も見ものだったなぁ、お兄ちゃん、笑顔で怖い。

なんのかんのと今巻も楽しく、敵対勢力の今後の動きは気になるので続きも楽しみです。一番楽しみなのは解き放たれた大臣が暴走するかなんですけどね!(柱の影からそっと見守る系に落ち着きそうだけど)

鬼舞 見習い陰陽師と災厄の薫香
瀬川貴次/星野和夏
集英社コバルト文庫(2012.06)
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