伯爵と妖精 祝福の子か夜の使者か / 谷瑞恵

本の感想, 作者名 た行谷瑞恵

プリンスの組織からエドガーを、そしてリディア隠すために女王の手配したカントリーハウスに潜伏する一行だが、そこに組織に囚われたフランシスから助けを求める手紙が届く。罠とわかりつつもフランシスの救助のためにロンドンに向かうリディアは、テランに囚われてしまう。

エドガーの想いが、リディアの想いが。

クライマックスに向けて一歩ずつ進んでいくシリーズ30冊目。記憶を失ったエドガーの記憶を戻さないために、「エドガーの友達」のポジションを貫こうとするリディア、記憶を失ってもリディアに惹かれるエドガー。この二人のやりとりが本当に、本当に痛々しくてそれでいて優しくて。読むのが辛いんだか早く読みたいんだか両極端の気持を持て余しながら読んでおりましたよ。本当にこのシリーズは!(好き) リディアはお腹の子どもがエドガーの子であることを隠し続ける必要があるのですれ違いがなぁ。そして更にそれを乗り越えたエドガーのかっこいいことこの上なしで、この感動を何処に持っていけばいいのかしばらく持て余した次第で。口説き魔のくせに、と心を落ち着ける魔法を唱えていました……。

さて、物語の真相部分も徐々に明らかになりつつ新たな解釈も出始め、そしてリディアの子どもも「救いか破滅か」どちらとも取れる力を見せつけます。最後はうまくいくのでしょうがそこに辿り着く前にいろいろ波乱が予想されて続きも待ち遠しい限り。安心して読めるニコとレイヴン、ケリーの見事なボケと突っ込みも冴え渡り、こっちも続きが楽しみですのでぼちぼち待ちたいと思います。

伯爵と妖精 祝福の子か夜の使者か
谷瑞恵/高星麻子
集英社コバルト文庫(2012.10)
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