精霊王の契約者~騎士と乙女の恋愛狂想曲~ / 宇津田晴

本の感想, お気に入り, 作者名 あ行宇津田晴

見世物小屋で『憂いの姫君』と呼ばれ一番人気を誇るバイオリン奏者のカルラは、その薄幸そうな見た目とは裏腹に百年の恋も覚めるような守銭奴だった。ある日、カルラは世界を守護するという精霊王の契約者に選ばれるが、精霊王からはカルラの演奏には愛が足りないとダメ出しをされてしまう。そんなカルラに愛を教えるための指南役として選ばれたのは、以前カルラを助けたことのある外面はいいが中身はいろいろと問題のある騎士で……。

これはまたよいラブコメでした。

宇津田さんの新作は、たぶん読み切りの「一見薄幸の美少女だけど守銭奴」美少女カルラと「外面はいいけど出世のためなら手段は選ばない」らしい騎士レオンとのニヤニヤラブコメでした。お互いの利益のために、「愛を知らない少女と愛を教える聖騎士」という役回りを見事演じきってみせてやる!という二人がだんだん恋に落ちていく様子が良かったです!カルラの揺れる心がこれまた、いいものでした。

ちょっと物足りない所といえば、レオンの内面やバックグラウンドがもうちょっと掘り下げられたらよかったのになぁ、と言うところはあるんですが。そこら辺を差し引いたとしても、安心と安定の宇津田さんのラブコメで楽しかったです。読み切りもいいんだけどもうちょっとシリーズとして読みたいなぁとも思ってしまいますが、面白かったので!次回作も楽しみ!

精霊王の契約者~騎士と乙女の恋愛狂想曲~
宇津田晴/高星麻子
小学館ルルル文庫(2012.11)
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