風の王国 抱玉の臣 / 毛利志生子

本の感想, 作者名 ま行毛利志生子

ネパールを訪問中の翠蘭は、ギャカルで捉えられた玄策一行を救出するためにネパール軍の助力を得るかどうかの決定権をソンツェン・ガムポから委ねられる。吐藩とネパールの関係を考慮の上、ネパール王の申し出を受けることにしたのもつかの間、今度は滞在中の王宮で翠蘭に便宜を計ってくれた藩主の女性が殺されるという事件が勃発する。その事件に巻き込まれ、翠蘭一行に加わっていた少女も行方不明になり……

これ、少女小説じゃない(いまさら

風の王国、気がつけばネパールでも大事件に巻き込まれていますの二冊目。ネパール編は、二冊目だよね……(といろいろ自信がない)。今回、シリーズ比ではそれほど大変な目に遭っていない翠蘭ですが、大変な決断の連続でよく胃に穴があかないなぁと感心してしまいました。
今回は、「悪者」はいない展開なんですが、タイミングの悪さが重なりまくった結果の、翠蘭の最後の決断が重いなぁ、と。上に立つ者がくださなくてはいけない決断の重さの片鱗を感じました。

毎度ながら、翠蘭の大物ぶりも読んでいてスカッとして楽しいのですが、ラセルの「人たらし」ぶりも読んでいて楽しいなぁ、と。あの人、すっかりラセルの手のひらの上だ(笑)。ラセルにだと「いらない」と言われても、許せそうな気がするわ!と思ってしまいました。これはラセルの将来が楽しみだな。

風の王国 抱玉の臣
毛利志生子/増田メグミ
集英社コバルト文庫(2013.01)
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