贅沢な身の上 ときめきは夢と幻の彼方へ!? / 我鳥彩子

本の感想, 作者名 や~わ行・他我鳥彩子

自称「仙人」の唯翔に監禁された花蓮は、唯翔の力で不思議な夢をみる。あくまでも物語の傍観者でいたい花蓮は夢を見ることに疲れ、監禁場所からの脱出を図る。拍子抜けするほどうまく後宮に戻れた花蓮だったが、天綸の前で妄想すると頭が痛くなるという事態が発生してしまい……

こ、これは……!(美味しい兄弟があった)

結婚したくないがために後宮に入って美人さんにかこまれてキャッキャうふふの日々を過ごす予定がうっかり皇帝に気に入られてしまって華麗な計画が!と皇帝から逃げ回る花蓮の楽しい日々を描いた5冊目。今回も花蓮の見事な妄想がバッチリはまって楽しかったです。トキメキ小説作家の真奏さんと花蓮の妄想談義が楽しいなぁ……!他にもいろいろとみなさん花蓮の妄想の餌食になって、それがバッチリはまっていって楽しかったです。残念な身の上の陛下にもようやくライバル登場らしく(相手は認めたくないようですが)、さてはて、どうなることやら。

で、今回花蓮の妄想も楽しかったのですがそれ以上に全く期待も予想もしていなかった「お兄ちゃんと弟」の一場面が素晴らしくて私の口元は確実に緩んでいました(花蓮ちゃんとそれほどかわらない……)。く、くそう!封印したはずの「お兄ちゃんと弟」が今夜だけ再びとか、おいしすぎる!!

あとは、この巻は作者さんがかなりの宝塚好きということをしって初めて読んだ巻なのですが、それを前提に読むといろいろおもしろくて、わかる、わかりすぎる!と違った意味での楽しさもありました。指先の角度にまで気を使うデュエットダンス……これは、これは同じ世界に魅せられているからこそわかる楽しさと言いましょうか。続きも楽しみです。

贅沢な身の上 ときめきは夢と幻の彼方へ!?
我鳥彩子/犀川夏生
集英社コバルト文庫(2012.08)
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