アラハバートの魔法使い~1ディナールではじまる出逢い!~ / 仲村つばき

本の感想, 作者名 な行仲村つばき

魔神の父と巫女の母を持つシェヘラは、盗賊に強奪された「父の入った」魔法のランプを探す途中に砂漠で遭難の上人さらいに攫われかけるが、通りがかりのギルドの長・サディーンに助けられる。サディーンにはシェヘラに救助料を請求するが、その後なんのかんのとシェヘラの捜し物に付き合ってくれて……

一番男前なのは魔神パパだった。

半魔神の女の子が盗まれた「父」を探してアラブの世界を大冒険するお話。「魔法」と慣れ親しんだ生活を送っているがゆえに、「魔法」を隠して生きていかねばならないシェヘラの葛藤や、その出生から生まれを捨てて新しい家族を作ったサディーンの頼れるアニキぶりが面白かったです。お話の展開もちょっと予想通り、そしていい意味でおおっと思う展開でなかなか楽しかったのですが、サディーンの最後の告白はいろいろすっ飛ばしすぎてちょっと唖然としました(笑)。いやまあ男らしくていいと思うんだけど(笑)。

しかしながら、王子さまたちの王位継承争いについては、なんかちょっと消化不良感があったかなぁ。どぎつい王子さまなら、もうちょっとどぎつくても良かったのにとかそういう消化不良なんですが……その辺りの消化不良は最後の魔神のパパ上の妙なかっこ良さで帳消しになっちゃいましたが。また次回作も楽しみです。

アラハバートの魔法使い~1ディナールではじまる出逢い!~
仲村つばき/サマミヤアカゲ
ビーズログ文庫(2013.02)
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