浪花ふらふら謎草子 / 岡篠名桜

本の感想, 作者名 あ行岡篠名桜

幼いころ旅籠「さと屋」に置き去りにされた花歩の養い子・花歩は、父の残した風景画を頼りにその風景が描かれた場所を巡り歩くうちに町の人々と交流を深める。花歩は友人の助言もあり、趣味と実益を兼ねて町案内の仕事を始めるが……

千代ちゃん!幼馴染の千代ちゃんが!

集英社の「いきなり文庫」、谷さんに引き続きコバルト作家の岡篠さんの江戸時代の大坂を舞台にした町人物。少女小説的ちょっとほんのりした場面もあり、そして町人物の「人情」も感じと、好きな雰囲気の連作短編物語でした。シーボルト来日あたりの時代が舞台です。

特筆すべきは、花歩の幼馴染で町人なのに武家に養子入りしてしまって同心をしている千代ちゃん!普段は武士言葉なのに父親説得のために渋々町人言葉を使うところに転げました。こういうの大好き。なんのかんのと花歩ちゃんのサポートをしてしまう千代ちゃんの眉間のシワがたまりません。
花歩ちゃんの頼れる友人、佐名さんもかっこよくて素敵で、それぞれのお話のゲストキャラも魅力的で面白かった!

花歩が始める街案内が「浪花講」ということもあり、左近さーん、と違う話の違うヒロインを思い出したりしつつ、いろいろ楽しめたのですがなにやら思わせぶりな前振りがあるので続きも読みたいなぁと思います。

浪花ふらふら謎草子
岡篠名桜
集英社文庫(2013.01)
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