覆面竜女 巫女は紡ぐ、聖なる天衣 / 藍川竜樹

本の感想, 作者名 あ行藍川竜樹

蓉華は布に竜気を込める事ができる「竜娘」としての力を持っているが、経済的事情から試験を受けることができず、もぐりの「竜娘」として布を織る日々を過ごしていた。蓉華を残し師匠が旅に出ているある日、蓉華は借金を返すために「もぐりの竜娘」を探しているという陵王の元に連れて行かれる。陵王は蓉華を国で最高位の竜娘「竜女」候補として中央に送り込むことが狙いらしく……

ずれてる、蓉華ちゃんがズレ過ぎてる……!

「ひみつの陰陽師」シリーズが面白い藍堂さんの新作。まだ陰陽師の方も全部読めていないんですが、新シリーズ始まったし(あ、でもガチで人気投票してるから勝たないとシリーズ化しないのか……)ちょうどいいやーと手にとってみることにしました。
あらすじだけ見るとわりとまっとうな少女小説っぽいのですが、それは、また、なんというか。陰陽師でも微妙にコメディだったのですが、こちらはそれに輪をかけてコメディ。原因はヒロインが「おっとり」で「ズレ」ていること。そして、言葉通り「覆面」姿なのですが、その理由が……!予想通りといえば予想どおりですが、なんというか、ヒーロー(陵王の蒼翔さん)もいろいろ大変よねぇ……。

シリーズ化しないことも考えてか、一冊目である程度の決着がついてしまうので、「二人の距離」的なところはかなりどどどん!と進んでしまいます(これは3冊くらいかけてもいいと思う)。「おっとり」でいろいろクラッシュしていくヒロイン、というのは苦手な場合も多いのですが、この子はなんだか微笑ましくて良いものでした。ヒロインにつられて腹をくくる陵王も、なんだかよいものでした。

できれば続編希望なのですが、これは期待してもいいかなー?ヒロインのお師匠様もいろいろと大変な秘密を持ってそうだし(出てこないけど)、そしてなにより一番すごいのは妓楼の親父さんだとおもいます。あの人、実は最強なんじゃ……。続きも出るといいな!

覆面竜女 巫女は紡ぐ、聖なる天衣
藍川竜樹/サカノ景子
集英社コバルト文庫(2013.08)
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