封鬼花伝 暁に咲く燐の絵師 / 三川みり

本の感想, 作者名 ま行三川みり

上東国の第一皇子・刀火(の腹心・雅近)に半ば拉致される形で刀火の宮に赴くことになった絵師見習いの千樹は、屏風に封印されているはずの国を滅ぼす力を持つ「鬼」の封印が切れかかっているため、再度封じ込めることを依頼される。

殺伐としているようなしていないような、絶妙な距離感。

和風ファンタジーっぽいお仕事モノ?のようなのでチャレンジしてみました。銀砂糖師シリーズ(私の中で途中で止まっている……)の三川さんの新シリーズです。主人公の千樹ちゃんがその生い立ちからツンツンしていて(唯一デレるのは師匠にたいしてのみ)、刀火がそれをつついて遊ぶのを楽しむ……話ではありません。楽しかったけど。刀火が飄々としているように見えていざというときの覚悟はできており、千樹を信じたからには彼女に全て託すという男前なところがかっこよかったですね。
何か事情があるのだろうな、とは思っていましたが、千樹が過去の出来事から「いじけている」ところはちょっと読んでいてつらいものがありました。しかし、それがあるからこそ千樹が過去の真実を知り、失っていた記憶を取り戻し、そして鬼を封じ込めるに至る場面は爽快で、そしてやったなー!という気分。やっぱりクライマックスが盛り上がるのはいいなぁ。

鬼は全部で4体、とのことですので、続くとすれば4巻以上になりそう。続きがありそうなのでチェックしていきたいです。

封鬼花伝 暁に咲く燐の絵師
三川みり/由羅カイリ
角川ビーンズ文庫(2013.10)
amazon/honto/BOOK☆WALKER