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精霊歌士と夢見る野菜 / 永瀬さらさ

植物の育たなくなった大地で、唯一植物を育てることのできる手立ては「精霊歌」のみとなった世界で、ミュズラム王国では力のある精霊歌を歌う者たちを「精霊歌士」に叙し厚遇していた。精霊歌士を育てるムーサ音楽学院の入学試験に合格できず、予備学生としてムーサ学園都市で生活することになっったメロウは、予備学生への支援制度を利用して「野菜屋」を営みつつ精霊歌士を目指すことにするが、ムーサ音楽学院の首席新入生エイディがメロウの借りた家に住み着いてしまう。

おー、これは面白かった。好みです。

第11回ビーンズ小説大賞の奨励賞・読者賞受賞作品。精霊と契約をして植物を育てる「精霊歌」を歌えるようになったものの、現在は野菜しか育てることができず音楽学院に入学できなかったメロウと、ぶっちぎりの成績で学院に入学したのはいいものの、朝9時からの授業には参加できないという理由で学院を自主退学した「天然の皮をかぶったボンクラ(のわりには屋根を修理したりとわりと使える子)」のエイディ、この二人とそれぞれの相棒ラヴィにミミが繰り広げる物語で、面白かったです。

読み始めるまでは「夢見る野菜」というタイトルからコメディ分が強いお話なのかなぁ、と思っていたのですが、なかなかどうして、地に足の着いた成長物語で読んでいて楽しかったです。メロウが「精霊歌士」に拘る理由、そしてメロウの情熱につられて自分のやりたいことを見つけるエイディ、さらに学院に渦巻くちょっとした陰謀、といろいろなところがきれいにまとまって、新人さんにしては(といっては大変失礼なのですが)とても読みやすかったです。終盤、メロウがエイディの発言(今のところそれほど大きな意味は無いはず)にドキドキしたりするという、ほんのりとした描写もいい塩梅でしたねぇ……これくらいの小さな恋のメロディはよいものなのです……。
それ以外にも、エイディを心配する(といいますか振り回されている)お兄ちゃんたちに、メロウとエイディの契約精霊のラヴィとミミ、さらに予備学生担当の先生たちや謎のおっさんもそれぞれいい味を出していて、いいなぁ。

プロローグでメロウとラヴィが契約するシーンが描かれているのですが、ラヴィが「代償は君の未来だ」なんてかなり意味深なことを言ったわりには、今回は本編にてそのネタに言及されることがなかったので、これは次回以降に期待かな。メロウと女王様の確執も全く決着がついておりませんし。

なお、冒頭の契約のシーンは、現在絶賛公開中の某「騙されちゃダメだよ!」の魔法少女モノの白い悪魔が頭をよぎって仕方ないというおまけ付きでしたが(笑・だってこっちも白いもふもふだし怖いこと言うし)、そういう話ではありませんのでご心配なく、で個人的にはおすすめの一冊です。

精霊歌士と夢見る野菜
永瀬さらさ/雲屋ゆきお
角川ビーンズ文庫(2013.11)
amazon/honto/BOOK☆WALKER

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