朱華姫の御召人 かくて愛しき、ニセモノ巫女 / 白川紺子

本の感想, 作者名 さ行白川紺子

先帝の娘であることを隠して叔父の家で召使同然にこき使われていた蛍は、食糧を取りに行った山中で偶然今帝の第二皇子・柊と出会う。これが縁で「やっかいな親族がいない貴族の娘」を探していた帝の意向で、宮中にて神に仕える朱華姫となることになった蛍は、皇帝から重要な秘密を明かされてしまう。

甘やかされてますね……(よい少女小説だ

古代から平安時代くらいの日本をモチーフにした日本風ファンタジーの第一作。出生の秘密のある蛍ちゃんが巫女として奮闘し、とある事情から「刃金の皇子」として周囲に恐れられている第二皇子柊さんが蛍ちゃんの側仕えになって彼女を過保護に甘やかすお話です(間違ってはいない)。

蛍ちゃんのスタート位置がシンデレラポジションで、近しい人以外から初めて優しくされた!と柊になつく様子が可愛かったし、柊も柊で先入観なしに蛍になつかれてまんざらでもない様子がこれまたよいもので。そんなピュアな二人になごむ一方でたぬきおやじな帝や兄皇子の食えないところがこれまた楽しい。帝もお兄ちゃんもいい性格してるよなぁ。いい性格といえば、蛍ちゃんがいなければ朱華姫の最有力候補だった絲さまも、良い性格というかめっちゃ格好よくて惚れざるを得ない。この物語一番のオトコマエ度を誇るのではないかと思うのです。絲さまの今後の活躍にも期待だなぁ。

蛍の母の謎や、どうして宮廷から神が去ってしまったのかの謎など、気になるところはまだまだありますので続きも楽しみです。

朱華姫の御召人 かくて愛しき、ニセモノ巫女
白川紺子/由利子
集英社コバルト文庫(2014.05)
amazon/honto