シンデレラ伯爵家の靴箱館 恋する乙女は雨を待つ / 仲村つばき

本の感想, お気に入り, 作者名 な行仲村つばき

「勝手に動く」母親の遺品の靴の鑑定を頼もうと、曰く付きの靴を収集しているという「シンデレラ伯爵家」の元を訪れたエデルだが、伯爵家当主のアランはエデルの靴を封印すべきものだと主張する。アランに靴を預けることになったエデルは、祖父に仕込まれた腕を活かし、アランの経営する靴店で働くことで母の靴を確認するという交換条件を受け入れ働き始めるが、人見知りのエデルに接客という次の難関が待ち受ける。

おもしろかった!アランが新たなお兄ちゃんの境地を開いてくれた(それ本題じゃない)。

普段は引っ込み思案だが靴職人としての腕は確かなもので、靴にかける想いは人一倍のエデルと、ご先祖様の「遺品」を回収することを使命とし、そして靴店の若き経営者であるアランの物語なのですが、これが面白かった!少女小説の「職人さんモノ」って結構面白いのが多いのですが、これも例にもれずいいものだったなぁ。なんでだろう、手に職をもっているヒロイン、というのが個人的にポイントが高いのだろうか(笑)。

それはさておき、お話としては「シンデレラ」をモチーフとしつつ、シンデレラは実は悪女だった!というところから派生して子孫がいろいろ苦労しているんですよーというのが面白いなぁと思いました。そしてそれに絡めてのアランとエデルのあれこれが、これまたいいものなんですよねぇ。特に最初印象最悪のアランがだんだん好青年に見えてくるこの展開が、にくい。少女小説っていいものです。そして、アランはいつ妹に遊ばれていることに気付くのでしょうか。エデルとの関係もですが、妹にいつまで遊ばれるのかも気になります。

というわけで、主にエデルの鈍感さというかこれはいつ気付くんだ!というじれじれ感がいろいろとたまらないので続きも楽しみです。期待しています!

シンデレラ伯爵家の靴箱館 恋する乙女は雨を待つ
仲村つばき/あき
ビーズログ文庫(2014.05)
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