星紋の神聖士官 / 月本ナシオ

本の感想, 作者名 た行月本ナシオ

星が落ちてくるため大きな被害が生じることがあるが、一方で星の力が人に宿るという<聖降誕祭>で両親を亡くしたキアラは、そこでクラウスと名乗る少年に助けられる。成長したキアラは、念願の「アストロラボス」の研究員となり、星の動きを研究していた。キアラの担当している境界石から大きな被害をもたらす「落星」の予兆を読み取ったキアラは、星の力を宿した神聖士官らとともに現地調査を行うことになる。

研究バカのキアラちゃんの行動がおもしろい。

月本さんのアイリスでの新シリーズ?の一冊。幼いころの命の恩人に再び会うために、研究一筋・研究バカの道一直線のキアラと、幼いころに複雑な境遇に身をおくことになったクラウスの再会の物語でした。しかしクラウス、最後のはちょっと(自主規制)。
月本さんらしい?というかなんというかの、少年向けに近いわりに微に入り細に入りの設定に若干目が滑りかけましたが、設定自体は面白いんですよねぇ……なんでだろう。こう、おしゃれな感じの造語が苦手なだけかもしれないんですが、その辺りは深く考えないということで。癖の強い神聖士官のふたりや上司もなかなかおもしろかったです。

しかし、事件自体は、「え、それあり!」という展開で(主に落星が宿った対象物の当たり)、色んな意味で予想が裏切られました。想像すると、少々笑えるというかどんな状態やねんというかで。全体的に「アイディアは面白いのに、どことなくあと一歩」という感覚を持て余しながら読んでいたので、何かもうちょっと突き詰めていればもうちょっとハマることができたのかなぁと思います。面白いか面白くないかといわれれば面白いんだけど、読むのに時間がかかるタイプの本でした。

星紋の神聖士官
月本ナシオ/山田シロ
一迅社文庫アイリス(2014.08)
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